仙仙台市主催の体験型イベント!WE QUEST+(ウィークエスト・プラス)仙台市地下鉄・謎解きゲーム 2017.10月1日〜11月26日開催!台市主催の体験型イベント!WE QUEST+(ウィークエスト・プラス)仙台市地下鉄・謎解きゲーム 2017.10月1日〜11月26日開催!

「ここが、私の居場所……」

晩翠草堂の門の前に立った依頼人は、頭の上にあるしっぽのようなものをまっすぐ立て、一言つぶやいた。

「ここの石板にあるのが、ある『言葉』ですね」

「天地……有情」

依頼人がそうつぶやくと、彼の丸い体を突然まばゆい光が覆った。

「うゎっ」

突然の閃光に、とっさに腕で両目をを覆う。

数秒後、おそるおそる目の前を見ると、そこには気品のある男性が一人、立っていた。

「依頼人、さん?」

「ええ、依頼人の……土井晩翠です」

返事は、先ほどまでの甲高い声とは打って変わって、深みのあるバリトンで返ってきた。

「おかげさまで、全てを思い出すことができました。これも全てあなたのおかげです」

「それはよかったですけど……ちょっと、変わりすぎでは」

突然目の前に出現した紳士にどう対応していいか分からず、ちょっとどぎまぎしてしまう。

「ちょうどこの場所で、『謎人』と名乗る人物に出会いましてね……『お前は何でもかんでもうまくいきすぎるから、

少し課題を与えてやろう』などと言い出したんです。それで、彼の魔術にかかり、あのような姿に」

「それは、災難でしたね」

元に戻った晩翠氏と話しながら、ふと、何か重要なことを見逃しているような気持ちになる。

「あれ……晩翠さんは、元から、ここにいたんですか?」

「ええ、元から」

「それは、この時代に、元から?」

「ええ、元から、この時代に」

「そんな……晩翠さんは、もう随分前に亡くなったはずじゃ」

話についていけずにいると、晩翠氏は、少しいたずらっぽく笑って、語り始めた。

「あなたにはお世話になりましたからね、ひとつだけ、秘密を教えてあげましょう」

晩翠氏はそう言って門をくぐると、数歩歩いたところにある井戸を指さした。

「この井戸には、現代と過去を行き来することができる機能があるんです。この井戸を使って、

私は定期的にこちらの時代を訪問していた」

「ええっ?」

「ただ……厄介なことに、私の顔はこの辺では売れてしまっていますからね。あまり長くいると、不審に思われてしまう」

晩翠氏は、周囲をすばやく見回すと、機敏な動作で井戸の方へと身を移した。

「良い子は真似しないでね」

晩翠氏は、僕じゃないどこかを見てそう言うと、井戸の口に載っている木の蓋を開け、颯爽とその中に飛び込んだ。

「あっ晩翠さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急いで井戸のそばに行き、底を除くと、そこには何の変哲もない井戸水が見えるばかりだった。

「一体、なんだったんだ……」

今日起きたことは全部夢だったんじゃないかと疑いながらふと井戸の蓋を見ると、そこには、一枚の紙が置かれていた。

『記憶を取り戻してくれてありがとう。また遊びに来ます 晩翠』

「本当に、なんでもできる人ですね」

メッセージを見て、思わずそう声を漏らす。

謎杜探偵事務所に持ち込まれた奇妙な依頼は、なんとか無事解決したようだ。

「ここに来たら、またいつか会えるかな」

小さく笑みをこぼして、僕は晩翠草堂をあとにした。

 

主催:仙台市  共催:仙台市交通局